簿記講座

今年も簿記講座を開催しました。毎度乍ら公民館らしくない講座ではありますが、商都大阪らしくもあります。まあ、そんな大袈裟な事ではなく、昔商工会に関りがあった職員が居るだけなのですが…。ただ、簿記は経済活動を記録する道具なので、分かると、多少世の中の動きが分かる気がします。講座で説明する、日商簿記三級は、丁度入門位の知識なのですが、それでも分かると分からないとでは、世の中が違って見えるかな?
そうそう、先の改定で三級も会社会計になって、事業主勘定や家事按分の説明がありません。今そこそこ大きな事業をすると、個人事業ではなかなかリースも組めないので、仕方が無い所なのですが…。商売の町である為に、もう少し多くの方に簿記の知識を持ってほしい所です。下の写真は、簿記講座の風景です。みんな熱心に勉強されてます。

追記(8月13日)
講座の中で修繕積立金の質問があったので少し難しい目ですが、説明してみます。将来大きな出費が見込まれる場合、次の仕訳を株主総会の決議を経て、積立金(任意積立金:純資産の部)を積んでおきます。
繰越利益剰余金/修繕積立金
繰越利益剰余金勘定のまま置いておくと、未処分利益(内部留保)が増え、配当や返済に充てる、と言う意見も出てきますが、修繕積立金と言う将来必要な備えとして振替えておくと、不用意に内部留保を取崩す事が減ります。この考え方は、会社を大きくする為の、利益の再投資と考える事も出来ます。上の仕訳では損益に影響を与えないので、投資した後から減価償却を通じて費用になります。修繕に当たらない場合は建設積立金や新築積立金等の適切な勘定科目を用ゐます。また、任意積立金は、利益が急に減って、繰越利益剰余金が借方残になった時に、修繕積立金を取崩して、繰越利益剰余金に振替える
修繕積立金/繰越利益剰余金
事もできます(取締役会決議で出来たかなぁ)。

他方、これとは別の考え方、同じく修繕の出費に備える為に、修繕引当金(毎期の修繕)や特別修繕引当金(数年に一度の大規模修繕)を積むと言う方法もあります。この考え方は、今の使用が将来の大きな出費に繋がると考え、(特別)修繕引当金繰入で、その分を当期の費用として計上し、貸借対照表の貸方に(特別)修繕引当金(負債の部)として下の仕訳で計上する方法
修繕引当金繰入/修繕引当金
特別修繕引当金繰入/特別修繕引当金
と仕訳をします。この場合、繰入額は当期の費用になるので、利益は少なくなります。ですが、修繕引当金繰入額や特別修繕引当金繰入額は、税金の計算の時は費用とは認められない(損金不算入と言います)ので、計上した期の税金の額を少なくする事は出来ませんが、実際に修繕した時に費用(収益的支出の分)として計上(損金算入と言います)出来ます。また、その大きな出費をした時も、その期の損益に影響を与えない(引当済み)、と言う事も講座で説明したと思います。

どちらも、目的は資金を蓄える事なので、貸借対照表の借方が増え、その分の貸方を補います。長期的に資金計画を立て、その会社の実情に合わせて記帳(処理)出来る様になっています。そう考えると、簿記は中々面白いのですが…分かって貰えるかなぁ…

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